坂下トンネル活線拡幅掘削工事 施工記録


建設後約70年経過した坂下トンネル(千葉県南房総市富浦町)は幅員が狭く大型車によるすれ違いが困難な状況のため、幅員を広げ、歩行者の安全確保の歩道整備のため、現道を通しながらの拡幅(活線拡幅)する掘削工事の施工を担当(元請=青木あすなろ建設)しました。

(国土交通省 関東地方整備局 千葉国道事務所HPより  参照



既設トンネルよりロックボルトを打設し地山と一体化を図る。


対面通行をしながらの施工を実現するために、全面通行止めでプロテクターを設置。
トレーラーにプロテクターを積み込み一気に設置。


>プロテクターを設置し片側交互通行で一般車両を通しながらの施工開始。


プロテクターと既設トンネルの隙間にエアモルタルを充填し、一体化を図る。


一般車両用プロテクターと工事用プロテクターを並列設置。


工事用プロテクター内部状況(工事用機械が通るためのプロテクター)


ソイルセメントで地盤改良を行いトンネル掘削がいよいよ開始


坑口付け工 
坑口付けのための支保工を6スパン程度クレーンを使って建込みます。キーストンプレートを張り吹付の出来る状態に。


下半・中半⇒上半の順に吹付を行い坑口が完成します。


山側・海側のスペースが変化していくために、変化に合わせて何種類かの機械を使用しました。


掘削開始

上半・海側中半・海側下半・山側中半・山側下半の5ブロックに分けた掘削方法で進んでいきます。
施工順序は上半を30基程度先行させ、山側中半⇒山側下半⇒海側中半⇒海側下半の順番で進んでいきます。
各ブロックの施工は掘削⇒支保工建込み⇒吹付⇒ロックボルト、フォアパイリング(上半)という施工になります。


上半掘削

上半はプロテクター上での施工になります。
 
状況に合わせロードヘッダーとブレーカーを併用して掘り進めます。


ズリ出しには3tDTを使用


支保工を建込みます。

 
フォアパイを打設して次の頂部の肌落ちを防護しながらの施工となります。


吹付コンクリートを施工して1サイクルが終了します。


中半・下半掘削

上半が10基程度先行し、中半・下半との安全距離(上下作業にならない)を確保したら同時施工で中半・下半の掘削になります。 今回の施工では海側と山側の断面が大きく違うため機械の大きさも多種類必要になりました。

海側中半・下半

ツインヘッダー0.45を使用し、掘削を行います。


バックホーと4tDTを使用しズリ出しを行います。


支保工を建込み吹付を行います。


ロックボルトを打ち込み地山と吹付を一体化させ1サイクルが終了となります。

山側中半・下半

山側は断面がかなり小さく苦労しました。ツインヘッダーが使用出来ないためブレーカーで掘削。


ズリ出し状況

支保工を建込み吹付を行います。


ロックボルトは断面が小さいため自穿孔タイプのロックボルトを繋ぎながらの施工。


到達側坑口工


既設の擁壁の取り壊し
振動をなるべく抑えるためツインヘッダーで削り取る工法を選択。古い擁壁のため詳細図がなかった。


擁壁内に補強のためのH鋼が出現したのでブレーカーに機械変更して残った擁壁を撤去

 
海側・山側の下半を建込みコンクリートで根巻きする。


中半の支保工を高所作業車・ユニック車を使って建込み。


ラフタークレーンを使用し、上半支保工を建てこむ。


キーストンプレートを外周に取り付け。


吹付をして坑口が完成


平成27年11月17日に乗り込み、4月22日無事故・無災害での掘削完了でした。
当初設計では想像できない地山の変化や既設トンネル等の詳細が不明な事、スペースの変化による機械の変更等様々な苦難がありましたが、無事笑顔で完了しました。